「アール・ヌーヴォーのガラスの世界展」開催中。
松坂屋名古屋店では毎年恒例の大人気催事、
「アール・ヌーヴォーのガラスの世界展」を開催中
今回もブログで何点かご紹介いたします
↑「ガレ 昆虫文ピッチャー」(1884~89年)高さ21.0×径11.2×8.8㎝
型モール吹き、エナメル金彩、アプリカッシオン、月光色ガラス
こちらのピッチャーのガラスは「月光色ガラス」と呼ばれるもの。
ガレ自身が考案し、1878年のパリ万博にて発表された技法です。
ガラスの素地にカリや酸化コバルトなどを入れることで、
月光色ガラスはその名前の通り、月の光のように妖しくも美しい色に光ります
月光色ガラスの作品は現存するものが少ないため、
大変貴重で人気があります。
その中でもこちらのピッチャーは蝉やカタツムリなど日本的なモチーフが使われていて、
当時ガレが影響を受けた「ジャポニズム」が強く表れている作品です。
↑「ガレ クロッカス文花器」(1900年頃)高さ21.0×径6.8㎝
型吹き、異色溶かし込み、マルケットリー、グラヴィール
まるで飴細工のような模様とツヤ感のあるガラスに浮かぶ、
オレンジと紫のクロッカスの花が美しいですね。
こちらはマルケットリーという非常に高度な技法が使われている作品です!
●マルケットリー
日本の寄せ木細工からヒントを得て、ガレが特許を取得した技法。
あらかじめ作りたい形に作ったガラスの薄片を、
ガラス素地が溶けているうちに表面にはめこむ技法。
多色の文様を表現できるが、冷めるときの収縮差でひびが入るなど破損することも多いので、
非常に難易度の高い技法である。
↑「ガレ 蝉文葉巻入れ」(1884~89年)高さ8.0×径8.0㎝
型吹き、グラヴィール、サリシュール
こちらはかなり初期の貴重な作品。
サリシュールと呼ばれる金属の酸化物をガラスの素地に封入することで、
ガラスの色に斑紋を生じさせる技法が使われています。
本来は不純物を入れるなんてガラスの世界ではタブー
しかしガレは、表面に色の変化が生まれる美しさを知っていて、この技法を生み出しました。
実はこの「変化の美しさ」も、ガレが日本から学んだもの。
日本の焼き物の窯変にヒントを得たそうです。
こういった作品を見てもわかるように、ガレがジャポニズムから受けた影響は
本当に計り知れないですね。
また、この作品には他にもポイントが!
「蝉」が彫られた「葉巻入れ」。
蝉はフランス語でCigale。
そして葉巻はフランス語でCigare。
実はフランス語で文字にするとそっくりなふたつのことば☆
こんな遊び心も潜んでいるのです♪
↑左:「ドーム 秋景色文花器」(1905~10年)高さ20.0×径6.0㎝
型吹き、ヴィトリフィカシオン、エッチング、エナメル彩
中央:「ドーム 木立冬景色文花器」(1895~1900年)高さ20.0×径6.4㎝
型吹き、ヴィトリフィカシオン、エッチング、エナメル彩
右 :「ドーム オランダ景色文花器」(1895年頃)高さ20.0×径6.2㎝
型吹き、ヴィトリフィカシオン、エッチング、エナメル彩
フランスのナンシー出身のドーム兄弟は、
故郷の風景をはじめとする、四季折々の風景をガラスに映しました。
この3作品も、非常にドームらしい絵画的な作品です。
ドームの作品は絵を描くようにエナメル彩を施すので、
まるで本当に絵画を鑑賞しているようです。
繊細なラインがとても上品。
お家の中の、日がよく当たる場所に置くと、
時間によって入る光が違うので
朝の風景から日が沈む夕方の風景まで。。
ガラスの中の景色の移り変わりが楽しめます。
↑「ガレ 蝶にルピナス文ランプ」(1918~31年)高さ55.0×径22.0㎝
型吹き、被せガラス、エッチング
ガレお馴染みのランプももちろんございます!
こちらはルピナスの花の上をひらひらと舞う蝶々が優雅ですね。
今回のブログで紹介したもの以外にも、
ガレ、ドームを中心に、ルソー、ミューラーなど、
厳選した装飾美術の優品約80点を第一画廊にてズラリと展示しております
初日の今日も、沢山のお客様にお越しいただき、会場は大盛り上がりです
ぜひご来廊お待ちしております(K)
「2012 アール・ヌーヴォーのガラスの世界展」(Art Nouveau Glass Collection 2012)
2012年4/25(水)〜5/1(火)午前10時~午後7時30分 *最終日は午後4時閉場
松坂屋名古屋店 南館6階美術画廊 TEL 052-264-3383